マスクについて

「マスク」と「伝染病」という2つのキーワードで思い出されるのが、中世イタリアでペスト大流行時に医師がつけていたマスクです。(今年は途中で中止となってしまいましたが)ベネチアのカーニバルでは定番の仮面のひとつです。鳥のくちばしのように長くとがった鼻先には殺菌効果のあるハーブが詰められ、その長さゆえ患者との距離も保たれたとか。中世でもソーシャルディスタンスっていっていたのかしら。猫の仮面も伝統的なベネチアンマスクの一つですが、猫はペスト菌を媒介するネズミの天敵ですね。カーニバルのおしゃれなマスクにこんな伝染病との関連があったとは!出口はどこにあるのでしょうか。共存という終息に向け気持ちを新たにまいりましょう。パウル・フュルストの版画、「医師シュナーベル・フォン・ローム」(ドイツ語で「ローマの嘴(くちばし)の医者」、1656年)。風刺詩‘Vos Creditis, als eine Fabel, / quod scribitur vom Doctor Schnabel’(君は寓話と信じるだろう/嘴医者の物語を)が添えられている。Photo: Wikimedia Commons